海外へ留学したい

STUDY ABROAD

海外へ留学したい

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留学経験者の声

信仰心のあつい人々が多い
ポーランドで豊かな生き方を学ぶ。

大学院教育学研究科 修士課程  学校教育実践専攻2年 末吉 彬子さん

 

2013年6月から1年間、交換留学生としてポーランド共和国・ワルシャワ大学の門を叩いた末吉彬子さん。カトリック教徒が国民の約88%(*)を占める国で日本における宗教教育の意義と探す日々を送りました。

クリスマスシーズンでにぎわう王宮前広場にて。冷たい空気に太陽の光がキラキラと輝く冬は、カラフルな建物がより一層かわいらしく見える。

英語は得意だがポーランド語は苦労したという末吉さん。和紙や扇子などをプレゼントしたり、天ぷらなどの和食をふるまってコミュニケーションを図った。

 

宗教教育の研究を進める中で、私が留学を決意したのは一人の友人との出会いでした。熊大に留学してきた学生のチューターを務めた際に、 彼女の信仰を目の当たりにし、「海外に身を置いて、 宗教を有する人々の暮らしやものの考え方を体感したい」と思ったことがきっかけです。熊大の学生交流協定校の中からワルシャワ大学を志願し、ヨーロッパ圏の中でも特に信仰心のあつい人々が多いポーランドで、1年間の留学生活がスタートしました。首都・ワルシャワは敬虔(けいけん)なカトリックの街で、例えば教会の前をバスで通りかかると乗客が十字を切り祈るような古き良き時代の風習が今も残っています。人と人を結び付ける要素として、あるいは生きる軸としての宗教と人間性を豊かにするその規律の存在。また、ポーランドという国を通して日本の文化や民族性を再認識し、宗教を持たない自由とその弊害についても考えるよい機会になりました。現在は、 日本における宗教教育の意義と課題をテーマに修士論文を執筆中。多くの人が特定の信仰を持たないこの国で、自分自身、教育機関を通して宗教にどのように向き合っていくか。留学の体験を生かしつつ、ベストな方法を模索しているところです。留学する前は日本を飛び出すハードルがとても高いと思っていたけれど、一度海外へ出てみるとその意義の大きさを知り、 今後の選択肢が広がりました。将来は英語教師にと決めていましたが、柔軟な考えと視点で世界にも目を向け、これからを考えていきたいと思います。

 

*平成26年6月外務省調べ
「熊大通信」vol.54(2014年10月)

 

 


 

 

世界に通用する対話力を身に付け、
発展途上国のインフラ整備に貢献したい。

大学院自然科学研究科 情報電気電子工学専攻 博士前期課程2年 末田 亮介さん

 

2012年9月から12月まで、フランスのボルドー国立電子情報高等学院で学んだ末田さん。夢だった留学経験を生かして将来は発展途上国でグローバルに活躍したいと語ります。

ボルドーで日本語を勉強している学生たちと交流を楽しんだ末田さん(最後列左から3人目)帰国後も連絡を取り合い、互いに日本語とフランス語を学んでいる。

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同学院IMS研究所のエネルギー変換グループを率いるステファン・アゾパルディ教授と。ヨーロッパやアジアの学生も多く、共に学び合った。

 

 高校生の頃から海外に関心があり、世界中を訪れる中で発展途上国のインフラ整備が日本に比べて劣っていることに衝撃を受けました。それが現在の原子力・火力や再生可能エネルギー研究に関心を持ったきっかけです。学生のうちに旅行ではなく専門分野の知識習得のために留学をしたいという夢を叶えるために、日本学生支援機構と大学からの奨学金を受け、留学しました。将来のことを考えたときに今後英語圏以外の発展途上国で仕事をする可能性が高いと考えたのがフランスを留学先に選んだ理由です。フランスでは、太陽光発電システムを作る過程で使用する直流電圧を変換・制御する回路「DC-DCコンバータ」のシュミレーションと製作に挑戦。製作する上で必要な知識を学んだのち、設計を行い、実際に製作するという一連の流れを4カ月間で経験しました。短期間の間に言葉も設備も違う環境の中で、課題に取り組まなければならないプレッシャーは大きかったのですが、そういった環境の中で自分を追い込み、課題を達成できたことは日本に帰ってきた今も自信に繋がっていますね。初めての研究にも挑戦でき、技術的にも成果のある毎日でしたが、それ以上に世界各国から来ている学生たちの学びの姿勢に日々刺激を受けました。どの学生も積極性があり、ディスカッションの際の発言力や堂々とした態度に圧倒され驚かされるばかり。将来、グローバルに活躍していくためには語学力も含め、説明能力や積極性、対話力を身に付けなければならないと実感し、新たな課題の発見にも繋がりました。現在東日本大震災をきっかけにエネルギーへの関心が高まっています。将来、再生可能エネルギーの利用が世界中で増えるように今後さらに研究に力を入れていきたいですね。

 

「熊大通信」vol.48(2013年4月)

 

 


 

 

世界と積極手に関わることで
自分が“知らないこと”を知る。

医学部医学科3年 大見 修也さん

 

平成26年度初めて開催された「UCLA夏期研修セミナー」。
8月6日から9月3日までの4週にわたりカリフォルニア大学ロサンゼルス校に滞在した大見修也さんはこれまでも海外と積極的に関わってきました。

 

大見さん主催のミーティングでは、医療やグーグルグラスに関する動画を見て、少人数で討論を行った。 もちろん全て英語。中国人、日本人合わせて15人ほどが参加した。

セミナーのプログラムを組んでくれた中国人のUCLAの先生が企画してくれたボールディ山登山。右から2人目が大見さん。

 

小学生のころアメリカで暮らしたことがあり、その後ずっと英語を勉強してきました。また、これまでも「東アジア医学生会議」や「jaih-s(日本国際保健医療学会学生部会)」の運営に携わるなどして、海外とも積極的に関わるようにしていました。「UCLA夏期研修セミナー」に参加したのは、英語力を試したかったことと、募集案内に「UCLA教授陣によるナノサイエンス・ナノテクに関する講義」とあったからです。全く未知の分野なので興味を持ちました。講義では、最新の抗がん剤について学ぶことができました。薬の詰まった400オングストローム(*)の小さなカプセルを、血液を通して腫瘍組織に送り届け、光・磁力などの刺激を加えることでふたを開かせるという非常に興味深い内容で、医療とナノサイエンスの融合の奥深さに驚きました。講義してくださったのは日本人の教授。海外に根を下ろして活躍されている方にお話を伺えたのは良い経験でした。また、研修期間中は自分の得意分野を生かす何かをしたいと、宿泊先のUCLAの学生寮で中国からの留学生を誘い、動画を見てディスカッションするミーティングを主催したりもしました。海外と関わることで、自分が“知らないこと”を知ることができ、それが次の学びへの原動力となります。熊大には海外からの留学生が大勢います。日本にいながらにして海外と接することができるのは素晴らしいことです。以前は途上国での医療活動に目を向けていましたが、UCLA研修を経て広く世界を視野に入れるようになりました。まずは医学をしっかりと学び、自分に何ができるか探していきたいと思います。

 

*オングストローム…長さの単位。1オングストロームは百億分の1メートル
「熊大通信」vol.55(2015年1月)